はなむけのことばに代えて
2015年3月5日、Jwebから町田慎吾くん(Musical Academy)のプロフィールが消えました。
研修生扱いのジャニーズJr.、こうやって痕跡が消されることで、契約が終了したことを知らされる。とてもとても、寂しいものです。
伝えたい言葉も感謝もたくさんあったのにね。
思い出だけを残して、音もなく姿を消してしまう。
語り尽くせなかった気持ちと、はなむけの言葉を送るために、かっこいいことは言えないんで…ただいちヲタクの思い出話を語らせていただくことをお許し下さい。
町田くんは、私がジャニヲタになるきっかけをくれた人です。
10代のさいご、なんやかんやありまして(雑)いわゆるひきこもりの生活を送っていました。外の世界への恐怖だけがあって、その他になんの感情も持てず、何年もただ部屋の中で、人形のように、呼吸だけをしていた。眠ったまま心臓が止まる夢も何度も見ました。
そんなときになんでだか、ジャニヲタの姉がKYOTOKYO*1のパンフレットを見せてくれました。そこに写った町田くんに不思議なほどひっかかりを感じたんです。
かっこいい♡とかではなく(失礼)なんていうか、このひと人間なのかな?って。なんだか清濁色んな物を見てここにたどり着いたような、でもそれを受け入れ微笑んでいるような、とても不思議な雰囲気をもっていて、ただ単純に、この人に会ってみたい、と思ったのでした。
何も感じなくなっていた心に、久しぶりに宿った情動がそれでした。
そしてそこからが早かった。
ちょっとした理由をつけて京都に引っ越し、KTK通いを始めました。
現場に行くためには資金が必要なので、仕事をはじめました。元ニートができる仕事なんて限られてたから、できることなら何でもやって。
ヲタクどうしで交流したくて、サイトを作りました。(当時はファンサイトが主流でした)インターネット上から、友達付き合いができるようになりました。
そしてその経緯で得たものが現在の仕事にもつながり、その後十数年ごはんを食べていくための種になりました。
ひとりのひきこもりの心に火を灯し、光の下まで連れてきてくれたきっかけが、町田くんだったのです。
町田くんは、知れば知るほど不思議なこでした。
キュートでいじられキャラのようでいながら、ダンスに関しては熱く譲れないものを持っている頑固さも見え隠れしていた。
光一さんに憧れきゃっきゃする姿は乙女のようだったし *2
相方、大野氏への愛情はいつまでも深く、大野氏のデビュー後一時事務所を辞めたのも、そして他のどこでもなく、ジャニーズ事務所に再び戻ってきたのも、もしかしたら彼に対する感情が強く働き過ぎた結果だったのかもしれません。
そして、戻ってきたときにはけじめとして立ち位置をすっかり後ろに下げられ、それでもひたむきに、ただいま自分にできるパフォーマンスを行っていた。
その姿を見ていました。
そう、見ていた。映像にも記録にも残らない前提のJr.という存在は、それを見ていた人の記憶の中にしか残らない。だからこそ、『私が見た』姿を、ただ書き残しておきたいと思います。
『真夏の夜の夢』でのパック役は透明感のある人外のものな雰囲気を存分に活かして演じていたし、『NARUTO』のときは、サスケの役…!?原作ファンに叩かれない…!?けっこうなふわふわちゃんだよ…?とそわそわしながらも、イケメン役をなかなかにこなし。
はじめてのMAだけの舞台、『サバイバルアイランド』
強い個性とエンタメ精神、歌とパフォを存分に楽しませてもらいました。1回だけのつもりが、あまりに楽しくて何度もはいりたくなったなー。
そして印象に残ったのは『FAME』かな。
芸術の道を志す若者が集う学校、そのなかのバイオリン弾きシュロモ役。
とても繊細なひとで、愛憎の果てに自ら命を断ってしまうんですけれども。毎日シュロモとして命を断つのがつらい、とこぼすほど、どこか自らと近しいものを感じていた気がします。
繊細で感受性の強い魂が、何の鎧にもまもられることなく、生身のままただそこに存在しているような。
そう、町田くん自身にも、そんな繊細に揺れる精神性を感じていました。
最後に観にいった『爪牙』では、トークショーでただひたすらににこにこして両脇の若手俳優さんに愛あるフォロー入れられてるのが、かわいくもあり、なんだか心配でもありw
でも演技中はとても素晴らしく、事務所に推されている推されていないにかかわらず、やはりステージに上がるために生まれてきた人だな、と思っていました。
細かい思い出はたくさんあるけれど、なんだかあたたかく、ちょっぴりしょーがないなぁっていう気持を込めて、どこか家族のように、十数年の長い間、付かず離れず見守ってこれたことを素直にしあわせに思います。*3
最後に更新した町田くんのブログ。
大野さんとの飲み会の様子。『いつ、どんな時でも、悩みがあったらとんでくるし、一番の味方だし』そんなふうに言い合える仲が、20年前からずっと、より熟成されて続いていて、町田くんも、大野さんも、ひとりじゃない、大丈夫と思うことができた。
『20年、続けてこられたことを誇りに思う』
もしこのネットのすみっこにあるブログを読むことがあったら、ひとりのヲタクの心に灯火をともし、陽の光の下に連れてきてくれたことも、誇りに思ってほしい。
もらった灯火をできるだけ、消さないように、これからも生きていきます。
縦読みの『サヨウナラ』
ちゃんとお別れを言ってくれてありがとう。
はじめになぜあんなに町田くんに興味をもったのか、今なら少しだけわかる。感受性が豊かで、チャーミングで、人を傷つけることを嫌い、でも仕事に対しては真剣で凛として、まるで野に咲く一輪の桔梗のような美しさに惹きつけられたのだと思う。
…男のこを表現するのに適切な言葉かはわからないけど(笑
これからどんな人生を送るのかはわからないけど、町田くんを包む世界ができるだけやさしくあたたかいものであるように。さいわいが降り注ぎますように。
本当にありがとう。
拙い言葉で言い足りないことも山ほどありますが、ささやかなはなむけの言葉としたいと思います。